INTRODUCTION
2025年の第82回ヴェネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門でワールド・プレミア上映され、大きな反響を呼んだデンマークとスウェーデンの合作映画『さよなら、僕の英雄』は、何もかもが対照的な兄弟の物語。デンマークにおける実写映画の興収記録を塗りかえて歴代1位に輝き、同国のアカデミー賞たるロバート賞では13部門14ノミネートを果たして観客賞を受賞した必見の話題作だ。
人生の迷子になった兄弟の“失われたもの”を探す旅を描き上げた本作は、奇想天外なスリルとユーモアに満ちあふれ、あたかも奇跡のように心揺さぶるドラマへと変容していく。主演を務めるのは、『アダムズ・アップル』(2005)、『メン&チキン』(2015)、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』(2000)など、これまですべての長編映画でアナス・トマス・イェンセン監督とタッグを組んできたデンマークが世界に誇る国際的なスター、マッツ・ミケルセン。記憶を失いジョン・レノンの人格を宿した兄・マンフレルを演じ、自らのアイデアで髪にパーマをかけてメガネを着用、かつて見たこともない独特なキャラクターで新境地を開く。マンフレルの奇行に翻弄されるアウトローな弟・アンカー役には同じくイェンセン監督作品に出演し続けているニコライ・リー・コス。
この世の“正常”と“異常”の違いはどこにあるのか。社会が定義する“普通”とは何なのか。これまで人間のアイデンティティの混乱、喪失、再生といったテーマを探求してきたイェンセン監督が「人々の視線の変化」に焦点を当て、誰もが多面的な存在であり、それを理解していくことの重要性を予想もつかない展開で描いていく。
STORY
強盗事件での服役を終えたアンカーは、事件の際に大金を預けた兄・マンフレルと15年ぶりに再会する。
しかしマンフレルはその隠し場所を忘れ、さらには自身をジョン・レノンだと思い込んでいた……。
生まれ育った田舎の実家を訪れたふたりは、森に埋められているはずの大金を掘り起こそうとするが、思わぬ珍客たちが現れ事態は混乱の一途をたどっていく。